日本SF大賞受賞作家・藤井太洋の最新刊『ハロー・ワールド』!未来が体験できる静かで熱い革命小説が誕生。“ITに詳しくなれそう”な引き込まれるリアル描写には、著者の元エンジニア経験が活きている?タイトルに込めた思いについても語ります。
2012年、ソフトウェア会社に勤務する傍ら執筆した長編『Gene Mapper』を電子書籍で個人出版し、大きな話題となった藤井さん。大幅な加筆修正をした増補完全版『Gene Mapper-full build』が2013年に出版され、『オービタル・クラウド』では日本SF大賞を受賞。その他の著書として『アンダーグラウンド・マーケット』『ビッグデータ・コネクト』『公正的戦闘規範』などがある。本作品の主人公は、「何でも屋」エンジニアの文椎。彼の武器は、ささやかなITテックと仲間と正義感で、その仲間と開発した、広告ブロッカーアプリ〈ブランケン〉が、突然インドネシア方面で爆発的に売れ出すが――。東南アジアの島国で何が起こっているのか? とんでもない情報を掴んでしまった文椎は、第二のエドワード・スノーデンとなるのか? 未来が体験できる静かで熱い革命小説がここに誕生した。

――読後感として、難しいけれどおもしろい。ITのことに詳しくなった気持ちになります。

ビットコインの説明は、フィクションで書かれたものの中では世界で一番正しい内容になっていると思います。

――なぜこんなにITに詳しいんですか?

私自身がエンジニアをやってまして、主人公は自分の分身なんです。体験したことを再構成して、未来の設定に置き換えています。なので、私の中では私小説を書いている感覚でした。

――革命のお話などもありましたよね?

バンコクに出張に行ったらクーデターが起きて、ホテルの周りにデモ隊が並んでいました。ホテルに入り込んできた学生にSNSのアカウント作るのを手伝ってほしい言われたりしましたね。

――だから、作品での描写もリアルなんですね。

銃を突きつけられたわけではないんですけどね。

――タイトルにハローワールドと付けられた想いは?

もう一回小説を“はじめから”書いてみようという想いがありまして、そういう意味で、私の小説家としてのハローワールドでもあります。物語が世界に向かって語りかけていく瞬間でもありますし。もう一つは、世界中でハローワールドを毎日作っている人たち、エンジニアに対する応援の意味もあります。

――この作品は、ジャンルは何でしょうか?

テクノスリラーというジャンルがあるんですけど、マイケル・クライトンとか、トム・クランシーとか一般的には国際謀略スパイ小説なんですが、そういうジャンルの物語を私小説的に再構成したものだと考えています。アメリカの友人には、「テクノスリラーなんだけど、パーソナルロマンスのスタイルで書いているよ」と伝えました。

――物語の中にIT用語や横文字が沢山出てきますね。それで通じてしまう世の中にもなってるなって。

はい、増えていますね。ただ、できるだけ日本語にしようとはしました。私自身、英語で仕事をしているときに普通に使われる単語が日本語にできなくなってきていることもあって。一番端的には「コミット」ですね、日本語で何ていうか難しい。80年代くらいまでの日本だったらそれに相当する日本語を何とか探してきて割り当ててたと思うんですけど、現代ではどんどんカタカナだけが氾濫していっている。カタカナ(コミット)で分かる人と、コミットしているのを見たことがない人との間で言葉の断絶が激しく起こっている感じがします。

――最近読んでおもしろかった本は何かありますか?

早川書房から出ている『IQ』という探偵小説、ミステリーです。ジョー イデという日系人が書いた作品なんですが、ロサンゼルスを舞台にしたシャーロックホームズのような物語で、大変おもしろい作品です。


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本編では、この他にも質問やトークが盛り沢山、そして普段は見ることのできない作家さんの表情も楽しめます! 完全版が見たい方は、ぜひインタビュー動画をチェック!
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