NEW
    2018/11/26
    吉川英治文学新人賞受賞作家・本城雅人の最新作『時代』! 元スポーツ記者が描く、ジャーナリズムと親子の物語。“時代”というキーワード隠された、濃い人間ドラマと男達の時間!タイトルに込めた思い、強烈な登場人物・伊場の存在意義とは?
    産経新聞社入社後、産経新聞浦和総局を経て、その後サンケイスポーツで記者として活躍していた本城さん。退職後、2009 年、『ノーバディノウズ』が第 16 回松本清張賞候補となり、デビューを果たす。また、同作で第1回サムライジャパン野球文学賞を受賞。2015年、『トリダシ』が第18回大藪春彦賞候補、第37回吉川英治文学新人賞候補となる。さらには2017年、『ミッドナイト・ジャーナル』で第38回吉川英治文学新人賞を受賞する。他の著書に『スカウト・デイズ』『球界消滅』『希望の獅子』『英雄の条件』『嗤うエース』などがある。本作は、スポーツ紙で働く記者・笠間に、販売部への辞令が下ったところから始まる。記者職への断ち切れない思いを抱えながらも、それまでの人脈を活かし、販売部でも存在感を発揮し始める。だが会社の根幹を揺るがす事件を解決した矢先、悲劇が彼を襲う。一方、新聞社で忙しく働く父との関係に悩む長男の翔馬と次男の翼の人生もまた、大きな岐路に立たされていた――。元スポーツ記者が描く、時代を駆け上がった親子三人とジャーナリズムの織りなす新しくも壮大な物語である。

    ――タイトル『時代』とありますが、どうして『時代』にされたんですか?新聞記者の話ですよね。

    父と息子二人の話なんですけど、お父さんの話をまず書いて、息子の話を書いて、最後に次男の話を書いた。そして、全部書き終えて振り返ったときに、この平成っていう時代、メディアにとって苦境な時代を父子三人で駆け上がってきたなっていう印象がありまして、それでこの『時代』というタイトルを最後の最後に付けました。

    ――本城さん自身も元スポーツ記者で、平成の時代を記者として過ごされたんですよね?

    僕は大学を卒業して、新聞社に入ったのがちょうど平成元年でしたね。

    ――記者をずっとされていたということですが、今回は、販売部の話とかも出てくるじゃないですか。そのあたりはどういう風にリサーチを?

    それはすごく取材しました。聞けば聞くほど色んな話が出てきたので…

    ――やはりキャラクターもおもしろい。親子三人はもちろんですが、哲治のライバル伊場さんが強烈ですよね。善なのか悪なのかわからない、ミステリアスな存在感がありました。

    特にモデルはいないのですが、昔は彼のように、言うことがキツくて、口数が少なくて何考えてるかわからないっていう怖いような上司っていうのはいっぱいいたんです。そういう人間を笠間哲治が見た伊場と、翔馬が見た伊場と、翼が見た伊場は、それぞれの世代によって違って見えていて、お互いどう見えているかわからないと思うんですよね。でもそこにずっと伊場はいるんですよ。伊場はずっとその時代を見ている。見張っててもいいし、見守っててもいい。そういう存在が自分の人生を振り返ったときに、彼がずっと俺のこと知ってるなとか友達で自分のこと見ててくれてたなとか、そういう人間がいることによってあらためて見返すことができるんです。

    ――最近読んでおもしろかった本はありますか?

    沢木耕太郎さんの、カシアス内藤選手の話を書いた『一瞬の夏』です。大学生時代くらいぶりに読み返しました。

    ――ボクシングの話ですよね。なぜですか?

    一つは、自分が大学生のときに何を読んでたのかなと気になったことです。僕はその頃は記者になりたかったので、自然と沢木さんのスポーツジャーナリズムを読んでみたいと思ったんです。もう一つは、今はオフレコっていうのが当たり前になっている時代で、逆にオンレコもあるわけですよね。原稿をチェックしたり、相手に見せたりするような時代。昔はやっぱりそういうのがなかった時代に、相手の嫌なことまで踏み込んで、沢木さんは書かれていた。客観というより、自分の主観を入れて、自分の思うまま、見たまま、相手がどう思おうが関係なく書いている。そういうのって逆に現代になると難しくなっていますが、本当のジャーナリズムの世界なんだなと思います。

    ____
    本編では、この他にも質問やトークが盛り沢山、そして普段は見ることのできない作家さんの表情も楽しめます! 完全版が見たい方は、ぜひインタビュー動画をチェック!
    動画はこちら

    戻る
    一覧へ
    次へ
    ×